ベトナムのTPP加盟により農業分野が一番困難を強いられる形となった。本分野における一部の企業は大手企業がやらないニッチな商品を選ぶことによりこの困難に立ち向かおうとしている。
畜産業関連商品ビジネスを長年経営してきた株式会社Thanh Binh(ドンナイ省)の代表であるファム・ドゥック・ビン(Pham Duc Binh)氏は、小規模でありながら団結力も弱いこの分野で、これから外国製品と競争しなければならないことに対して長いため息をついた。なぜなら、TPP加盟により、輸入品の関税の多くが撤廃される為、多くの安価な外国産品が入りやすくなったからだ。


■海外に比べて生産性が低い

例えば、現状ベトナムでは、1頭の雌豚から産まれる豚は約12頭。養育後に取れる肉は650キログラム。これに対してアメリカの雌豚では24頭産まれる、そこから取れる肉は2.5トンにもなる。このことからベトナムの養豚畜産企業の生産性は外国と比べて25〜30%しかないことになる。

その為、ベトナム国産は価格が高くせざるを得ない状況で、今回の市場がオープンになったことで、利益率が低くなり競争力においてかなり困難になったという。

それから、Ba Huan社の副社長であるファム・タィン・フン(Pham Thanh Hung)氏によると、TPP加盟でベトナム国内の養卵企業は、外資グループと対峙し、かなり多くの困難にさらされるであろうと話す。閉室型養鶏所や近代的な技術を導入し無ければ、多くの企業が失敗しやすく、買収されやすいとのことだ。


■白毛鶏から色毛鶏への切り替え

しかしながら、このような困難があるにも関わらずチャンスもあるという楽観的な意見もある。

例えば、養鶏分野だ。養鶏協会副事務局長であるチャン・ユイ・カィン(Tran Duy Khanh)氏によると、一部の種類においてベトナムは太刀打ち出来ない種類があるという、それは白毛の鶏だ。白毛鶏は多くの国で数十年に渡って経験を持っている為、ベトナム国内企業がその種類で競争するのは不要だとした。

また同氏は、「現状の調査によると欧米では、ベトナム産の放畜鶏肉が好まれはじめており、白毛鶏よりも3〜4倍高い値段で売られているというのだ。それであれば、我々はその種類でライバルであるタイ産と競争すべきだ。」と話す。

また、カィン氏によると、養鶏分野の一番の困難は、自給自足の生産モデルにあると話す。現在の状況を見ると、養鶏を行っている各世帯は技術面からマーケットフローで連携体制を構築しており、このことは、彼らも今後の困難に立ち向かう姿勢があるとみることができるという。

統合機能について、同協会によると、多くの企業が様々なソリューションを既に準備しているという。

例えば、白毛鶏の養鶏から色毛鶏の方に切り替えているという。直近でもアメリカ系のファーストフードチェーンが室内養鶏の卵の仕入れを制限し、放畜鶏の卵の方に切り替えたケースもある。このことは、ベトナムの色毛鶏の養鶏農家にとっては良条件だといえる。


■困難だが安価で高品質の商品を作り出せるいい機会

また、カィン氏は、「不幸中の幸いとはこのことで、今までは自分のフィールドで戦えば良かった為、企業は変化を強いられなかった。しかし、TPP加盟によって、国内企業は自己を見直し、論理的に価格を下げ、品質を上げざるを得なくなった。そのおかげで、消費者は国産と外国産の安価で安全な商品を選択するチャンスが生まれた。」と語る。

上記のビン氏も、TPP加盟によって発生する固有の制限を確認し、会社はそれに立ち向かうため既に様々な計画をしてきたという。例えば、同氏は既に豚、鶏などの畜産施設規模を小さくし、古く品質が悪い施設を減らしたという。その代わり、レンタル倉庫を建設、家畜のえさの成分生産をおさえ、畜産農家向けの原料供給を増やしている。

ただ、ビン氏が一番気にかけていることとしては、今回のモデルチェンジは、畜産品のディストリビューター達を倒産に追いやる可能性があるという。

しかしながら、数千もの畜産世帯が重大な被害を受けることになったとしても、そのおかげで本分野は強化されるとのことだ。同時に競争が生まれたことによってベトナムの消費者は安価で高品質な肉を食べることができる続けた。

それから、Ba Huan社によると、同社も閉室型養鶏施設の建設の他にロンアン省に近代的な技術を導入した食品加工工場の建設に投資ししているという。これは、TPP加盟国の品質基準にのっとった商品を生産する為だという。


■政策面で企業の生き残り支援が必要
 
政策的な面で言うと、畜産加工と輸出入株式会社(Aprocimex)の会長兼社長のドアン・チョン・リー(Doan Trong Ly)氏によると、今回のTPP加盟は農業企業にとっては、これから大きな海原に出航するような感覚だと語る。

もし、大きな波を乗り越えることができれば、企業は自分の居場所を見つけることができるチャンスだという。しかしながら、初期段階において企業が生き残れるようにする為には、政治的な支援策も必要であり、それぞれの企業が自分でがんばらないといけない状況では、生き残りにくいと語る。

農産物の消費を気にかけているAn Giang大学校長である、ヴォー・トン・スアン(Vo Tong Xuan)教授によると、TPPが正式に締結されてから最低でも3年間は国産品はTPP加盟国の商品にかなり押し潰されることを我慢しなければならないであろうと話す。

同教授によれば、「ベトナムに多くの品質の良い野菜や果物が入ってくるであろう。ベトナムの消費者は最初の3年間にアメリカ、オーストラリア、ニュージランドの安価で高品質な農産物を食べ、その間に国内企業は高品質な商品が生産できるよう工場を建設準備を進めておく必要がある。」とのことだ。

また、同教授によると、多くの困難が出るだろうが、ベトナムの農産物にとっては唯一のチャンスだと語る。TPPの圧力によって競争がうまれ、これまで安易なビジネスをしてきた企業を変えることができるという。

なぜなら、彼らは、原料面及び衛生面でも安全面でも高い基準の品質を出せる工場の建設に投資することを考えなければならないからだとのこと。


■輸入税率が0%になるまでの10年間の間に戦えるだけの準備をする

TPP交渉チームの代表を務める産業貿易副大臣のチャン・クォック・カィン(Tran Quoc Khanh)氏は、アメリカから帰国直後の記者会見にて、これから農畜産業は困難を強いられるだろうと認めている。

交渉結果についてまだ公表されていない段階だが、同産業貿易省副大臣は、輸入税率が0%になるまでの10年間の間に準備期間があると伝えた。この期間中に、本分野はしっかり農業の構造改革を行い、ホームグラウンドでの戦いに備える必要があるとのことだ。

また、同氏は、ベトナムがこの分野において外国産に勝てない理由はないという自信があることを伝えた。

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